もう「奇跡だ」なんて言わせない

ギリシャ、まさかまさかのチェコ撃破。これで決勝戦ポルトガルギリシャという開幕戦と同じカードとなりました。ここまできたらギリシャの勝ちあがりはもはや「運」だけではすまされません。確かな戦術とそれを実行できるだけの能力が選手一人一人にあるからこそ、並み居る強豪をこれまで倒し続けることができたのです。それは素直に評価しなければならないでしょう。


しかしチェコネドヴェドの負傷退場が痛かった。やはり彼がいるといないとでは大きく違う。それは攻撃する側の実際のオプションとしての面はもちろん、守る側にとって相手の中心選手がいなくなるというのは精神的面に良い効果(例えば倒すチャンスが広がったと捉えてより積極的になれる)を与えることもあるでしょう。いずれにせよ、チェコを象徴する選手が退場するという出来事がまさにこの試合を「象徴」したものであったと‐もちろん事後的にですが‐言えるかもしれません。


ネドヴェドという選手に対して僕はどうしても悲劇性を有しているとの印象を抱かずにはいられません。昨年のチャンピオンズリーグ準決勝でイエローカードをもらった時(累積警告で決勝に進んだとしても出場できなくなってしまった)同様、今回のケースもそうです。サッカーに対して真摯に向き合い、人一倍努力をしてきて、実際に世界トップレベルの実力を持っている選手、それなのに何故か最も日の当たる場所には縁がない。こればっかりはどうしようもないことなのですが、なんとかしてネドヴェドには今回これまでの流れを払拭して決勝まで行ってほしかった、それが正直な気持ちです。


20日間に渡って戦いが繰り広げられてきたユーロ、泣いても笑っても次の試合が最後です。ポルトガルは開幕戦の時とは比べ物にならないくらいチーム力があがっていて勢いもある。ギリシャも強豪を倒して勝ち上がってきているだけに、自分達のやり方に対して自信を持っているだろうし戦術的な熟成度は確実に高まってきている。開幕戦ではまんまとギリシャの術中にはまったポルトガルですが、決勝は一体どのような試合になるのか、楽しみでなりません。